【ザンキゼロ感想】不親切=高難易度ではないことにスパイク・チュンソフトは早く気づくべき
2018年7月にスパイク・チュンソフトから発売された、ザンキゼロを今更ながらプレイした。
ジャンルはノンストップ残機サバイバルRPG。なんだそれ。
ダンガンロンパシリーズのスタッフが手がけてはいるものの、ダンガンロンパシリーズとはなんの関係もない。
人類が滅亡し、生き残った8人のクローン人間が死を繰り返しながらサバイバルし人類再生を目指す、というのが大まかなストーリー。
胸糞展開やホラー・グロも満載ということで、せっかくビルダーズ2で癒された自分の心をなぜかまた闇堕ちさせるためにプレイ。精神がジェットコースター。
以下、重大なネタバレなしのレビューを書いていく。ネタバレありの感想は次の記事で。
【良い点】
○個性豊かで魅力的なキャラクターたち
このゲームに登場する8人は個性的ではあるが、それが過剰すぎない。25歳の大人として仕事に就き、それぞれの人生を歩んでいる一般人なので、身近に感じられるだろう。
章ごとにキャラクターの視点が切り替わり、それぞれの心情が深く描写される点も感情移入のしやすさに一役買っている。
サチカ以外は幼年期〜老年期まで4パターンのグラフィックが用意されており、ボイスも異なる(壮年期以降は青年期のボイスを加工したもの)
イベントもその時の年齢で進むため、いつのまにかどの年代の姿にも愛着が湧く。もちろん、ハゲたリョウにも。
○状況が二転三転する予測できないストーリー
なぜ人類は滅びたのか?なぜ8人だけがクローン人間となり生き残ったのか?エクステンドTVを作った人物とその目的は?
それらの謎の解明へ小さな希望が見えてきたかと思ったら、簡単にひっくり返されて絶望する。
そんな中で芽生える8人の絆、示唆される黒幕の存在…。先が気になって自然とゲームを進めたくなる魅力に溢れている。
【人を選ぶ点】
△えげつない下ネタやゲス要素
ダンガンロンパシリーズではおなじみとなっているゲスなイジリや下ネタはこのゲームにも受け継がれている。むしろ悪化しているかもしれない。
私は割と平気な方なのだが、たまに度を越していて軽く引いてしまうことがあった。
ゼンの攻略ビデオの結末に「うわー」って引いてたらショウとミライがめちゃめちゃ茶化すからさらに引いてしまった。そこ茶化せる?無理じゃない?
基本的にエクステンドTVのノリは面白いんだけど、たまにしつこく感じる。
△ホラー・グロ要素あり
爽やかなパッケージイラストとは裏腹に結構なホラーゲーム。グロもある。
CERO Dなので察した人はいるかもしれないけど、耐性ないとキツイかも。
グロは平気だったけど、影男がマジでホラーだった。久々にゲームの敵キャラでびびった。魔剣爻のアイアンメイデンぶりだよ。絶対に許さねぇ。
△ニッチな要素あり
スタミナや生命力以外に、便意ゲージというものがあり、MAXになったら男女関係なく容赦無く漏らす。
トイレに行けば0にできるが、ないときは空ペットボトルを使えば少しゲージを減らせる。斬新なシステムだけど正直かなり抵抗ある。
私はこまめにトイレ行って、無理ならスコア使って帰還して、と徹底してたので漏らすどころか空ペットボトルすら使った事ないけど。
だってさあ、いくらサバイバルといえども最低限の人間の尊厳は失わせたくなくない?人間ならちゃんとトイレで用を済まさないとね。そういう性癖の人はいいんだろうけど…。
また、任意の2人を同室にして寝ると、親愛度が上がりそれに応じて絆イベントが発生する、というシステムがある。
しかし、親愛度がMAXまで上がった後に見られるのが、事後イベント(パンツ一丁イラスト付き)
同性同士でも、幼年期でも老年期でも発生する(しかもご丁寧に全年代分のイラストが用意されている)
友情育んでたと思ってた男2人がピロートーク始めた時の私の気持ち考えたことあるの?
【悪い点】
×難易度によるアイテムドロップ率の変化システム
一般的にゲームにおける難易度というものは、最初に設定した後は、その難易度が自分に合わないと感じない限りそうそう変えないものではないだろうか?
しかし、このザンキゼロはゲーム中何度も難易度変更をすることになる。
その原因は難易度によるアイテムドロップ率の変動にある。
高い難易度なら敵がレアアイテムをドロップしやすい、というのはわかる。
しかし、おすすめ難易度のⅢだと、レアアイテムがほとんど(または全く)ドロップしない設定になっている。おすすめ難易度なのに。
つまり難易度Ⅲ以下だと、ほとんどの強い装備は作れないし、ベースを最大まで拡張することはできない。
初心者やゲームが下手な人間が望んでいるのは、楽に最強装備を手に入れて無双することではないだろうか?
素材集めの時にだけ難易度を上げたとしても、敵は強くなるし、廃墟内のハプニングは増える。本当にアクションが苦手な人にとっては辛いのではないだろうか?
「難易度」というものに対する開発側とユーザー側の認識に齟齬がある気がする。
×バランス調整が不安定
武器には攻撃属性があるが、斬撃が圧倒的に強いのでどうしても斬撃に適性のあるキャラが優遇されてしまう。
工作や料理で余る素材と足りない素材が極端すぎる。大量に手に入るシャチの肉の用途が少ない。焼いて食えよ。
クリオネを使う場面がない。チャージして殴ったほうが早いし、壁を壊すのも火炎ピッケル等で代用できるし…。本当に何に使うの?自殺用?それとも暴走時の触手エロ絵を見るため?
同じ状態異常でも種類が存在する(毒なら神経毒、出血毒、細菌毒)が、治療アイテムも状態異常の効果も全く同じなので分かれている必要性がよくわからない。シガバネの数稼ぎ?
ラスボスが弱すぎる。難易度Ⅲだと全部位破壊前に倒してしまう。トロフィー項目なのに。
死んで強くなるシガバネは斬新なシステムだが、数が多すぎて「めんどくささ」が勝ってしまいがち。到底コンプリートする気にはなれない。
×全体的に説明不足で不親切
ベースの拡張や装備を作るのに必要な素材はわかるものの、それがどこで手に入るのか全くわからない。名前からどの敵がドロップするか予想できるものもあるが、素材系は見当もつかない。
攻略サイトや攻略本を見ればいいのかもしれないが、そもそも攻略を見ることを前提にしてゲームを作るべきではない。
ダンガンロンパの頃から感じていたが、ここのスタッフは「不親切・不便=高難易度」だと勘違いしている節がある。
ダンガンロンパも裁判中のミニゲームの説明の部分などに不親切さを感じてはいたが、そこはメインではないし、他の部分の面白さでカバーできていた。ザンキゼロはゲームのメインである探索パートが不便なせいで退屈になりがち。
探索時に、一度行ったフロアに一気に飛ぶ機能がないのも面倒くさい。スコアを消費して即帰還できる機能はあるのだから、リアリティの追求というわけでもないだろう。
スコア消費した上に、移動する階数分歳をとる、くらいのペナルティをつけて実装できないものなのか?
そのほかにもバックログがないとか、結構盛り上がるシーンなのにパートボイスとかそういうちょっとした点も気になる。
まとめると、ストーリー面白い!キャラクター魅力的!でもシステム面はクソ!って感じ。
ストーリーに重きを置いていて、多少のシステムのクソさには目をつぶれる人におすすめ。
またはものすごいドMの人はいいんじゃないだろうか。いろんな意味でニッチなゲーム、それがザンキゼロだ!!!
私はこんなこと書いておきながら公式設定資料集買ったからな!