PrimeVideoにワールドトリガーのアニメがあったので、ちょっとだけ観た。ぶっちゃけ声優(織田優成さん)目当て。奈良坂透役です。よろしくね(謎宣伝)
でもアニメだとイマイチ魅力がわからない。これはきっと原作を読まないとわからないやつだ。
というわけでKindle版ワールドトリガーを全巻購入した。行動の早いオタク。
そして一瞬で19巻一気に読んでしまった。
なんだこれ面白い……なんでみんなもっと早く教えてくれなかったの?
こんな設定ガチガチの漫画、私がハマらないわけないじゃん……。
嘘偽りなくすでに50回くらい読み直してる。何回読んでも面白いじゃん……。
ワールドトリガー知らない!っていう人生損してる兄弟たちのためにあらすじ載せとくね。まあ、普通にwikipedia見た方がいいけど。
あらすじ
三門市にある日突然異世界からの侵入者「近界民(ネイバー)」が現れた。
地球上の兵器が効かない怪物達に誰もが恐怖したが、謎の一団が近界民を撃退する。
彼らは「ボーダー」と名乗り、近界民に対する防衛体制を整えた。
それから4年半後、ボーダー訓練生の三雲修は三門市にやってきた近界民の空閑遊真と出会う。
修の幼馴染で近界民に友人と兄をさらわれている雨取千佳を加えてチームを組み、それぞれの目的のため近界遠征部隊を目指す。
そしてここからはワールドトリガーの魅力を語るね。
見たくなくても語るから!これ私のブログだから!
◎キャラが多い!でもみんなモブじゃない!
ボーダーの戦闘員は主に精鋭部隊のA級、主力正隊員のB級、訓練生のC級に分けられている。
C級はほぼ覚えなくてもいいが、A級とB級は未登場のキャラを含め、全員名前とポジションは決まっている。今顔出てるキャラだけでも100人はいる。
しかも背景のモブとして登場したキャラが実は重要人物とか、初期にかませだと思われたやつが後にめちゃくちゃ実力者と判明するとか普通にあるので油断ならない。東さんをただの老け顔だと思ってた人は反省するように。私だ。
どのキャラも個性があってしっかりとストーリー関わってくるので、なんとなく読んでいるだけでは登場人物を覚えきれないと思う。
私はテニスの王子様を通ってきたタイプのオタクなのでその程度の人数は余裕だけどね。各キャラの家族構成も言える。怖い。
テニプリ通ってねぇよ!覚えられねぇよ!っていう人も大丈夫!
ワールドトリガーは何度も読み返すことでさらに面白くなる作品なので、読んでるうちに覚えるよ!
ちなみに私が一番覚えるのに苦労したキャラは小荒井と奥寺。どっちがどっちかわからねぇ。
※奥手で奥側の髪が跳ねてるのが奥寺で、そうじゃない方が小荒井って教えてもらった。ひどい覚え方。
◎主人公補正?覚醒イベント?なにそれおいしいの?
この漫画の主人公は遊真、修、千佳、迅の4人らしい(作者談)
その中でもメインで心情を描かれるのが遊真と修。
遊真は近界で父親とともに傭兵として様々な国を回っていた関係で、戦闘経験も豊富で強い。
対する修は年下の女子より体力がなく、トリガーを扱うセンスがあるわけでもなく、さらにボーダー隊員としてもっとも重要であるトリオン量が極端に少ないという致命的な欠点がある。要するに弱い。
トリオンとはHP兼MPであり、攻撃力、防御力、技の多彩さなど、様々な部分に影響する。
つまりトリオンが少ない修はそれだけで大きなハンデを背負っていることになる。
っていうかトリオン不足で一度入隊試験に落とされた。主人公なのにまさかの裏口入隊。ちなみにB級に上がったのも不正昇進。
才能ない上に戦闘経験も少ないため、とにかくシャレにならないくらい弱い。
頭はそこそこいいので、戦術を考える力と指揮能力は新人にしては高めだが、戦闘能力は期待できない。
トリオンは筋肉のように使えば使うほど少しずつ成長するが、逆に言えば短期間で劇的に増えることはない。
つまりトリオンが少ない修が今後、覚醒イベントで劇的に強くなることはない。
そんな色々ギリギリな修がボーダーの精鋭たちや近界民相手にどう立ち回っていくかが、この漫画の見どころの一つだ。
でもほんとマジで弱い。一応作中で成長はしているけど、他のキャラだって努力してるので差は埋まらない。
あ、でも一個だけ誰にも負けない強さを持ってた。メンタルの強度だけは歴戦の戦士級。正直メンタル強すぎて怖い。ペンチマン。
◎簡単には死なない。だからこそ、死は重い
こういう少年少女たちが怪物と戦う系の作品っていくつかあると思うけど、子供が戦うってなるとどうしても設定が重くなりがち。
ワールドトリガーはトリオン体という戦闘専用の体で戦うので、どれだけ傷つけられようとも生身には何の影響もない。
トリオン体が傷つけられすぎると、生身に戻ってしまうが、ボーダー正隊員には緊急脱出(ベイルアウト)という機能が標準搭載されていて、トリオン体が壊れると同時に基地への帰還が可能だ。
この2つの設定のおかげで、「少年少女が街のために戦う」という状況が重苦しくなりすぎない。
それを「緊張感に欠ける」と指摘する人もいるようだが、それは違う。
ワールドトリガーの世界はあくまで「人が死なない」のではなく「人が死ににくい」だけだ。
だからこそ、ストーリーの中で“死”が引き立つのだ。
ある事情によって生身になった修が敵の攻撃によって太ももと脇腹を刺されたとき、血が大量に流れ、1週間も目を覚まさなかった。
それはバトル漫画を見慣れてしまっている私には衝撃的なシーンだった。
だって普通の漫画では刺されたくらいじゃ死なないし、なんならそのまま戦い続けられるのが当たり前だからだ。
しかし、実際には人は簡単に死んでしまう。そのことを私は改めて思い出したのだった。
簡単に死なないからこそ、死の重さが引き立つのだ。
◎集団戦が熱い!
少年漫画では基本的に1対1で戦うことが多い。
トーナメント形式などルールに則っている場合はともかく、ルールなしの戦いで味方が苦戦していると「加勢して倒せば?」と思ってしまうことがある。
卑怯だから、という理由で1対1にこだわっているのかもしれないが、少々非効率的に感じる。
ワールドトリガーでは1巻で遊真が「数は喧嘩の基本」と言っている通り、数の有利を活かした戦いがほとんどだ。
ボーダーの戦いは侵略者との"戦争"であり、戦争に卑怯などという概念はない。強敵相手に数の有利を使うのは当たり前のことなのだ。
実戦が集団戦を想定しているのもあり、ボーダー内で行われるランク戦も、チーム単位での三つ巴、四つ巴となる。
ランク戦では、一番ランクの低いチームにはマップ選択権があり、マップ以外にも天候や時間帯を変更することができる。これによって下位のチームはアドバンテージを得られる。
こういった要素もあり、たとえ相手が格上でも、戦術や連携、地形の有利を活かして戦況をひっくり返すことができる。
また、戦略で勝つことによって、勝利に説得力があり負けた相手の格も落ちにくいというメタ的なメリットもある。
修も実力が足りないので戦略を練って戦ってる。側からみるとすごいいやらしい戦い方だけど。B級嫌がらせメガネの名前は伊達じゃない。
◎勝負を決めるのは気持ちの強さではない
少年漫画の王道パターンとして、実力で劣っている主人公が格上相手に覚悟や根性で勝利する、という展開がある。
好きな展開ではあるものの、どうしても御都合主義に見えてしまうのも事実だ。
ワールドトリガーでは覚悟や根性だけで格上に勝つことはできない。
それを象徴するエピソードが、B級ランク戦ROUND3玉狛第二VS鈴鳴第一VS那須隊の戦い。
両親の意向で狙撃手の茜が県外に引っ越すことになり、今期が今のメンバーで戦える最後のランク戦となる那須隊は、最後に今までで1番高いランク(7位以上)を目指すことを決め、いつもより気合が入っていた。
熊谷&茜、村上、遊真、各隊が三つ巴となって争う中、遊真が均衡を崩すべく、茜を狙いに行く。
茜はこのとき自主的に緊急脱出することも可能だったが、あえて迎え撃つ選択をする。しかし、遊真の釣りに引っかかり敗北。
一方、熊谷は村上の攻撃によって片手を失ってしまう。熊谷の弧月(ブレード)を両手持ちするスタイルが崩れ、格上相手に一気に窮地に立たされる。
その片手の隙をカバーするため熊谷は炸裂弾を使い応戦。
その窮地に立たされても諦めない2人の姿を見た実況オペレーターの三上は「いつもより気持ちがこもっている」と評価するが、コメントを求められた解説の太刀川は「気持ちの強さは関係ないでしょ」「勝負を決めるのは戦力・戦術あとは運だ」とその意見を一蹴する。
「気持ちが人を強くすることもあるのでは?」という意見には「けどそれで戦力差がひっくり返ったりはしない」「気合でどうこうなるのは実力が相当近いときだけだ」と続けた。
太刀川の言う通り、熊谷も最後まで粘るが、実力差は覆らず、結果は村上の勝ち。最後に残した罠も看破された。
しかも、村上に有効なダメージを全く与えられないままの完敗。さらに村上には、熊谷と戦いながらも遊真を意識して立ち回り、あえて隙を見せて誘い出そうとしていた余裕すらあった。
その2人の決着を、気持ちの強さと勝敗の関係性について否定していた太刀川は「いい勝負だった」と評価した上で、「俺は気合の乗ったアツい勝負は大好物だ」「けど気持ちの強さで勝負が決まるって言っちまったらじゃあ負けた方の気持ちはショボかったのかって話になるだろ」と締めくくった。
この一連のセリフは、ワールドトリガーを代表する名言の一つだ。
勝敗は実力と戦略によって決まる。どこかドライでドラマティックさはないが、現実的で納得できる言葉だ。
◎サブキャラの成長がすごい
修がB級に上がってすぐ、緑川というA級の攻撃手に勝負を挑まれる。
前述の通り、修はめちゃくちゃ弱いので緑川の動きを全く読むことができず、結果は10連敗。
周りには緑川が集めた大量のギャラリーがいた。もちろん、修は嘲笑の的となる。
緑川はA級3位チームの風間さんと引き分けた修の評判を落とすためにわざとそうしたのだ。(実際は24敗した末の引き分けなのでただ噂が独り歩きしてただけ)
それを見ていた遊真は緑川に同じように10本勝負を挑み、最初の2戦だけわざと気持ちよく勝たせた。この時点で緑川は遊真を舐めきっていたが、後の8戦で完封される。
遊真との実力差を身をもって知った緑川は勝負が終わった後、修に頭を下げ、評判を落とすためにやったと素直に告げる。(当の修は全く気にしていないどころか、気づいてすらおらず緑川はさらに毒気を抜かれることとなる)
その後に起こる大規模侵攻で緑川は、人型近界民と交戦。1対1なら問題なく勝てると舐めてかかる相手を翻弄し、余裕の態度を崩してみせた。そして少し前の自分と重ねて「勝てると思っているやつは隙だらけ」だと笑う。
サブキャラクターにも成長があるところが、他の漫画の噛ませキャラと一味違うところだ。
緑川だけではなく、作中では様々なキャラクターが成長していく姿が見られる。
私のイチオシの成長株は諏訪隊の笹森。性格も相まってまるで主人公みたい。
一方、本当の主人公であるメガネは嫌がらせを極めていた。
◎読み返すたびに新たな発見がある
ランク戦ROUND5の最後で、香取が倒したはずの修にワイヤーをつけられていた場面は、倒されたコマですでにワイヤーを生成しているとか。
ガロプラ戦で2発目の大砲を防いだときの村上が、レイガスト盾だけでなくシールドも張って完璧に防いでいるとか(1発目はレイガストのみで少し取りこぼしがあったから)
最初は読み流してた部分が後から見ると、新たな発見があって読み返すたびに面白くなっていく。
あと葦原先生は漫画内の細かい部分にもこだわって描いている。そういうのに気づくとまた楽しい。
めちゃめちゃ細かい例を挙げるとこんな感じ。
・メガネに度が入っている描写として、メガネ越しの顔の輪郭が少し歪んで描かれている(メガネを外した時ちゃんと目が少し大きく描かれる)
・キャラクターごとに吹き出しを使い分けている(女性や優しい印象の人は丸い、男性は角ばってる等)
・年齢や性格によって一人称の俺を使い分けている(俺、おれ、オレ)
そんなこんなで読み返すたびに面白さが増していくワールドトリガーをみんなも読もう!6/4には20巻も発売予定だ!
ただ、葦原先生にこれだけは言っておきたい。
Aカップのキャラ多すぎない?